「70点」
「59点やったわ」
「…………に、22点…」
フランシスは、一夜漬けにしてはそれなりの点数を取り、
アントーニョは、まあこんなもんやな、とまずまずの反応を見せ、
ギルベルトは、返却されたテストの点数を見てワナワナと震えだす。
「なんでお前ら当たり前のように50点以上とってんだよ!」
「勉強したからでしょ」
「勉強したからやろ」
「つっても俺もお前も!お前も!一夜漬けだろうが!相手なら納得できるが、なんでこんなに差あんだ!おかしいだろ!」
ビシッと二人を指差すギルベルト。
実は三人とも日頃は遊んでばかりで、授業もあまり真面目に受けない上に、学校が終わったあとは街に繰り出して、遅くまで家に帰らないというのは少なくないのだ。一緒に絡んでるは、テスト前には勉強をしっかりとするので悪い点数をとったのを見たことないが、フランシス・ギルベルト・アントーニョは言うまでもなく一夜漬け組である。そして今回はとくに、点差が大きかった。
「んなこと言われても」
「『※個人差があります』っちゅうやつやろ?なんやねん今さら」
「ぐぬぬ……!」
「あ、三人とも!テストの結果どうだった?」
ギルベルトが歯を食いしばり、二人を睨めつける。と、その背後から、がテスト用紙片手にやってきた。
「見て、俺70点。結構やったほうだと思わない?」
の首に腕を回しながら、目の前でひらひらとテスト用紙を泳がせるフランシス。
「へえ……!すごい、やろうと思えばできるんだね」
「でしょー?」
「俺59やってんけど、まあまあってとこやんな?」
「んー、一夜漬けなら妥当じゃない?」
「やんなー」
「で、ギルベルトは?」
と同時にフランシスとアントーニョの目もギルベルトのほうを向く。友人に差をつけられたのが余程ショックだったのか、"どんより"という擬音が見えるくらいに落ち込んでいる点数最下位者(ギルベルト)。そんなギルベルトに声の掛けづらさを感じたは、隣に居る二人に小声で経緯を尋ねる。
「どうしたの?あれ……」
「それがね、今回あいつ22点で」
「22点!?」
「シッ!……そう。んで、気落ちしてんの」
「いったい一夜でどんな勉強の仕方したんやろな」
コソコソと話す風景は陰口を叩いてる様に見えるが、断じて違う。
励ましと応援の一言でもかけてやろうと、教室の隅っこで項垂れるギルベルトに近づく。
「補習で挽回すればいいだろ、気にすんなって」
「テストもこれで最後やないしな」
「私も解らないとこがあるなら、できる範囲で教えるよ」
・フランシス・アントーニョの友達想いな言葉を、
「……おう」
と素直に受け取るギルベルト。すると途端に元気を取り戻し、
「は……ははは…だよな。べつに今回悪くたって次良い点取ればいいことだしな。これをバネに次は100点だ。見てろよ!ははははははは!!」
彼の目尻には、涙がたまっていたとか、いなかったとか。
一夜漬けは個人差があります
「それで、は何点だったの?」
「95。一つ間違えちゃって……」
(((それでもさすがというべきか)))